89歳。多良美智子さんの人やモノを上手に頼る暮らし | 婦人之友社 さあ、生活を発見しよう

89歳。多良美智子さんの人やモノを上手に頼る暮らし

 

「自由に使える時間が贅沢にあるのは、長生きのご褒美ですね」と話す89歳の多良さん。

食事や運動、趣味や周りの人との交流……心地よい空間を作りながら、ひとり暮らしの毎日を楽しんでいます。

 

【プロフィール】

多良美智子

たら みちこ:1934 年長崎県生まれ。27歳で結婚後、1967年より神奈川県の団地に暮らす。9年前に夫を見送り、以来ひとり暮らし。高校生の孫とともに、YouTubeで「Earthおばあちゃんねる」を配信中。著書に『87歳、古い団地で愉しむひとりの暮らし』『88歳ひとり暮らしの元気をつくる台所』(すばる舎)。

 

 

ずっと暮らしてきたこの部屋は、”私の城”

 

手作りの人形や摘んできた草花を飾る、リビングの飾り棚。

 

多良さん一家がこの家に越してきたのは56年前。ここで3人の子どもを育てあげ、9年前に夫を見送って以来、ひとり暮らしを続けています。

「当時は、狭い家に家族5人で暮らしていましたから大変でした。半世紀以上たって部屋も古ぼけましたが、ずっと暮らしてきたこの部屋は、どこよりも素敵な”私の城”です」

 

インテリアが好きでよく模様替えをしてきたという多良さん。ひとり暮らしになった今でも、好みの箪笥(たんす)を置いたり、居心地のいいように部屋を整えています。

 

 

朝食はプロテイン入りのオリジナルスムージー

 

陽の光がたっぷりと差し込むダイニングキッチンで料理をして食事をするのは、毎日の楽しみのひとつです。

 

朝食のスムージーセット。ひとり暮らしになり、大きいサイズのミキサーをコンパクトサイズに買い替えた。

 

「かんたんなものばかりですが、三度の食事は自分で用意しています。朝食は毎日7時にスムージー。20年以上前から続けています。夫は亡くなる前、固形物が食べられなくなりましたが、スムージーだけは飲めました。その時に孫にすすめられたのがプロテイン。私もそれ以降、たんぱく質不足にならないように、スムージーに入れています」

 

朝食はスムージーとゆで卵とりんご半個。スムージーは多良さんオリジナルの組み合わせで、牛乳、小松菜、りんごの皮、すりごま、おからパウダー、オートミール、プロテイン、アマニ油を入れます。

 

 

足を動かして毎日ほどよい運動を

 

毎朝起床は5時。食事や就寝も毎日同じ時間にすることで1日のリズムができ、体調を崩すことがありません。

「私の1日は、近所の広場でのラジオ体操から始まります。その後1015分ほどウォーキング。ずっと早足で歩いていましたが、最近はそれができなくなってきて。息子にアドバイスをもらい、今は大股で歩いています」

多良さんが住む団地にはエレベーターがないので、外出時の階段の上り下りもよい運動になっているそう。

 

テレビを見ながらステッパーに乗ることも。歩数や運動時間、消費カロリーなどが表示され記録もできる。

 

冬はどうしても家にこもりがちと、最近はハンドルつきステッパーを購入。「これはよさそうと思ったものがあったら、試してみたくてすぐに買います。ちょっと食べすぎたかなと思った時や編み物の合間など、気づいた時に乗るようにしています」。

 

 

上手に人に頼りながら、ひとりの時間を楽しむ

 

 

「今日は午前中に、お掃除に来てもらったんですよ」と多良さん。大きな掃除機を使うことが難しくなったため、月2回ハウスクリーニングを頼んでいるそう。電球の交換などは自治体のサービスを利用したり、インターネットの配線や設定は次男親子にお願いしたり。

 

「やっぱり年々、できなくなることが増えてきました。すべて娘や息子に頼むとどうしても気を使いますからね、サービスを利用するほうがずっと気楽です。家族との関係はつかず離れず、適度な距離感が大切だと思います」

 

 

 「編みものは癒しの時間」と多良さん。左は30年ほど前に編みもの教室に通って製作したカーディガン。右は最近残りの毛糸で作ったソックスやウォーマー。

 

歌、絵手紙、写経、着物リメイクと多くの地域の教室や趣味の会に通う多良さん。

「1日が無事に気持ちよく過ごせるのは、本当にありがたいことですよね。そしてひとりで暮らせることも嬉しい。今日も1日楽しかったよ、と夫に話しかけるようにしてベッドに入った時に、一番幸せを感じます」

 

 

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2024年1月発売の「暮らしのお助け道具と知恵130」では、多良さんの台所の愛用品や10年日記、iPadを使い離れて暮らす家族とともに食事を楽しむ様子なども紹介しています。

 

「どんな時でも楽しまないと損!いつでも今が幸せ」(撮影=佐藤克秋)

 

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