暮らしの達人セレクション「安部智穂さん・モノと暮らしのストーリー」02
[モノと暮らしのストーリー・安部智穂さん 02]
骨董市をめぐり、器や古道具を見るのが大好きな安部智穂さん。
暮らしの中で存分に使われて生かされるモノと、愛してやまないタイマグラでの暮らし、50代半ばを迎え「ここ数年は『選ぶ』ことを大事にしている」という心境の変化について、語ってくださいました。
(文・鈴木裕子/写真・筆者)
秋田県五城目町で佐藤秀樹さん、幸穂さん親子が営まれている「三温窯」。安部さんとのおつき合いは、かれこれ14年ほどになるといいます。
安部さんは以前、年に2回、岩手の小岩井農場で100人ほどの作り手さんを集めたクラフト市を主宰していました。そのクラフト市に、三温窯さんが参加されたことがきっかけで知り合われたそうです。
秀樹さんはもともと会社員でしたが、陶芸に惹かれて陶芸の道に。幸穂さんは、能登で漆を学び、その後作陶の道に入ったという経歴の持ち主。 「秀樹さんも幸穂さんも、まじめで実直で温かい方たち。作品には、そのお人柄がそのまま現れています。奇をてらうのではなく素朴で温かいからこそ、毎日使って飽きることがない三温窯の器。多くのファンを得ている理由だと思います」。
今回ご紹介する1点めは「梅小皿」。「私はもともと花柄が大好きで、幼いころは洋服や文房具も花柄ばかり。年を重ねるとそうもいかず(笑)、もっぱら器で楽しんでいます。三温窯の梅小皿は、ぽってりとした厚さが愛らしくて」。おひたしやごま豆腐など地味めな料理も、このお皿に盛るとかわいい一品に。栗の渋皮煮を載せたりチョコレートやクッキーを載せたりと、ティータイムにも大活躍します。
2点めは「リム皿」。「リム皿も大好き。リムがあることで盛った物の輪郭がはっきりするし、リムのおかげで、箸やフォークでつまんだりすくったりがしやすいのです」。三温窯の器は厚みがあって安定感があるのですが、リムがあることでスキッと洗練された雰囲気が出ているところもお気に入りのポイントです。
3点めの「スープカップ」は、ある企画展の際に秀樹さんに作っていただいたもの。「汁物好きとしてはカップの持ち手にこだわりがあって、秀樹さんにアレコレ希望をお伝えし、作っていただいた、思い出深い器です」。使いやすいだけでなく形もかわいらしい。食事の時間がいっそう楽しくなること間違いなしです。
今回ご紹介した作品は、F-TOMO SHOP でもお求めいただけます。
- 梅小皿
https://www.fujinnotomo.co.jp/shop/selection/z610016/
- リム皿
https://www.fujinnotomo.co.jp/shop/selection/z610017/
- スープカップ
https://www.fujinnotomo.co.jp/shop/selection/z610018/
(2024.10.23)
*次回は、安部さんが愛用する「鳥越竹細工」のざるの魅力について、お話いただきます。
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安部智穂 あべちほ
森の暮らし案内人。1994年に桶職人の夫と岩手県早池峰山麓のタイマグラ集落に移住。山菜や木の実を採り、野菜を育てて保存食や発酵食にするほか、クラフト市を主宰するほど手づくりの道具が好き。たくさんの作家や職人とつながりを持ちつつ、自分でも草木染めやカゴづくりを楽しんでいる。著書に『森の恵みレシピ 春・夏・秋・冬』、『カゴと器と古道具』(共に婦人之友社刊)がある。