蜂蜜本来の甘さを知っていますか?
[モノと暮らしのストーリー・門倉多仁亜さん 02]
鹿児島県鹿屋(かのや)市に移住し、地元の食材を使った料理や、豊かな自然の中での暮らしを楽しんでいる門倉多仁亜(たにあ)さん。料理教室や料理にまつわる物販などのほか、1泊2日のツアー、”クッキングホリデイ”も主宰されています。都会から移住して、暮らしを通して感じる変化や、庭の果実を使ったジャム作りについて。また、郷土料理をヒントにしたアレンジや、こだわりのはちみつについても伺いました。
(文・鈴木 裕子/写真・福元 由起子、門倉 多仁亜)
ふんわりとやさしい甘さ 〜日本ミツバチの蜂蜜〜
門倉多仁亜さん(料理家)
現在、店頭に並ぶ蜂蜜のほとんどのものは西洋ミツバチの蜜から作られたもの。日本ミツバチの蜂蜜の国内流通量は、わずか0.1%程度といわれています。多仁亜さんのお気に入りは、その稀少な日本ミツバチの蜂蜜。それも非加熱・非加糖、純度100%の蜂蜜です。
「そもそも夫が大の蜂蜜好きで、常々『本来の、甘すぎない蜂蜜が食べたい』と言っていたんです。鹿屋に帰ってきてから、近くの錦江町で笑喜和則さんという方が近くで日本ミツバチを飼っていて、その蜂蜜がとてもおいしいという話を聞き、分けていただけることになりました」
大隅半島南部は原生林に覆われているのですが、その多くが照葉樹林。日本ミツバチは照葉樹林の花が大好きなので、蜂蜜を採取するのにとても適した場所なのだそうです。
「多くの蜂蜜は年に2回採蜜されるのですが、こちらの蜂蜜の採蜜は年に1回。そのためコクのある蜜になるんです。それでいて糖度が高くないので、ふんわりとやさしい甘さが特徴です。農薬の心配がない自然な場所で採取されているので、安心して召し上がっていただけます」
日本ミツバチの蜂蜜は、結晶化したり白濁してクリーム状になりやすい蜂蜜ですが、品質に問題はありません。溶かしたい場合は、蜂蜜の温度が60℃を超えないように湯煎してください。
「蜂蜜には酵素が含まれているのですが、こちらの蜂蜜は熱処理を加えていないので、瓶の中に発酵ガスが溜まり、開封時に『ポンッ』と音がします。また、発酵が進むことで液漏れをすることがあるので、時々、瓶を開けてガス抜きをしてくださいね」
多仁亜さんは、この蜂蜜をスプーンですくってそのまま食べるのが、お気に入り。
「ハチって、一生のうちにたった小さじ1杯分だけ蜜を作るんですって。それを聞いたらありがたくてもったいなくて、まずはそのままいただきたいんです。自然のものだけに、その年によって味が違います。今年の蜂蜜は、華やかさの中に少し柑橘を感じる香りがして、さわやかな甘さ。ぜひ、お試しください」
実は多仁亜さん、自分でも日本ミツバチを飼い始めたそうです。
(ご自宅の庭での養蜂の様子)
「ひとつの群れだけです。去年、分蜂(群れを増やすために行う蜂のお引越し)をして、新しい箱に分けた蜂はうまく住み着いてくれたのですが、古い箱の蜂が逃げてしまって、結局ひとつの群れのまま。蜂って、ちょっとでも気に入らないことがあるとすぐに逃げちゃうんです。だから、ちゃんと箱の中にいるかどうか確認するのも、こちらに来て加わった大切な日課です」
(2024.12.27)
※商品データ
日本ミツバチの蜂蜜【門倉多仁亜さんおすすめ】3,240円(税込)
原材料 蜂蜜(非加熱)
内容量 200g
保存方法 直射日光を避け、常温または冷蔵庫で保存
賞味期限 2025/10/16
注)腸管の発達が未熟な乳児がボツリヌス菌の芽胞を摂取すると、ボツリヌス菌による症状を起こすことがあるので、1歳未満の乳児には与えないでください。
今回ご紹介した商品は、F-TOMO SHOP でもお求めいただけます。
ぜひご覧ください。
次回は、「ブルーベリーとゆずのジャム」について伺います。
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門倉多仁亜 かどくらたにあ
日本人の父とドイツ人の母の2つのルーツをもち、日本、ドイツ、アメリカで育つ。国際基督教大学を卒業し、証券会社に勤務。結婚後、ロンドンのコルドンブルーのグランディプロムを取得、東京の自宅で料理教室を主宰。現在は夫の出身である鹿児島県鹿屋(かのや)市在住。月刊『婦人之友』など、雑誌や書籍で料理や自身のライフスタイルなどを発信。