自身のルーツと、鹿児島の郷土料理をヒントに
[モノと暮らしのストーリー・門倉多仁亜さん 04]
鹿児島県鹿屋(かのや)市に移住し、地元の食材を使った料理や、豊かな自然の中での暮らしを楽しんでいる門倉多仁亜(たにあ)さん。料理教室や料理にまつわる物販などのほか、1泊2日のツアー、”クッキングホリデイ”も主宰されています。都会から移住して、暮らしを通して感じる変化や、庭の果実を使ったジャム作りについて。また、郷土料理をヒントにしたアレンジや、こだわりのはちみつについても伺いました。
(文・鈴木 裕子/写真・福元 由起子、門倉 多仁亜)
「けせん」の葉を使って 〜紅玉のジャム〜
門倉多仁亜さん(料理家)
りんご(紅玉)に地元のレモンを合わせ、けせん(シナモンの原料となるニッケイ属の樹木)の葉で香りづけをした、ほんのりピンク色をした見かけもかわいらしいジャムです。
鹿屋に移住して感じた、東京での暮らしとの違いのひとつは、「りんごが手に入りにくい」ということでした。たしかに、りんごは寒い土地の果実で、調べてみると栽培地の南限は関東地方のよう。
「ただ、ドイツにルーツのある私にとって、りんごは欠かせません。りんごはドイツ人にとって最も身近な果物なんです。幸い、市内にある果実店でりんごが手に入ることがわかりました。ジャムやお菓子づくりに最適な紅玉が、そのお店に1週間だけ並ぶことがあるんです。そのタイミングを逃さずほとんど買い占めて(笑)、自分用とお店用にとせっせとジャムを作ります」
りんごと相性のよいシナモン(ニッキ)。通常はその樹皮を剥いで乾燥させたものを使うことが多いのですが、多仁亜さん、こちらのジャムには「けせん」の葉を使用。鹿児島ではニッキのことを「けせん」といって、昔から、根っこの表面をかじって香りを楽しんだり、葉っぱに殺菌作用があることから、お菓子作りなどに使われてきたそうです。
「郷土料理のひとつに『けせん団子』というお菓子があります。我が家ではさらしあんと餅米の粉で作った団子を蒸して、けせんの葉で包んで作るのですが、素朴ながらとても香りがよくておいしいんです。せっかくなので、その香りをりんごジャムにいかしたいな、と思って。本当は根っこも入れたいんですけど、掘るのがけっこうむずかしいので、葉っぱだけにしました」
同じ植物でも、土地によって呼び名だけでなく、使い方も違ったりするのですね。多仁亜さんは、新たな発見に心を踊らせ、鹿屋での暮らしを楽しんでいます。
(2024.01.10)
※商品データ
紅玉のジャム【門倉多仁亜さんおすすめ】 1,080円(税込)
原材料 りんご(紅玉)、レモン(鹿屋産)、ニッキ(葉、鹿屋産)
内容量 140g
保存方法 冷暗所(開栓後は要冷蔵)
賞味期限 2025/04/30
今回ご紹介した商品は、F-TOMO SHOP でもお求めいただけます。
ぜひご覧ください。
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門倉多仁亜 かどくらたにあ
日本人の父とドイツ人の母の2つのルーツをもち、日本、ドイツ、アメリカで育つ。国際基督教大学を卒業し、証券会社に勤務。結婚後、ロンドンのコルドンブルーのグランディプロムを取得、東京の自宅で料理教室を主宰。現在は夫の出身である鹿児島県鹿屋(かのや)市在住。月刊『婦人之友』など、雑誌や書籍で料理や自身のライフスタイルなどを発信。