住まいで人は変わる

[モノと暮らしのストーリー・加賀江広宣さん 02]

 

鹿児島市の中心から少し離れた里山で、妻と3人のお子さんと一緒に暮らす加賀江さん。Instagramで発信されるその暮らしからは、都会の生活ではなかなか味わえない豊かな時間が伝わってきます。

土地との出会いから家づくり、そして日々の暮らしや子育てなど、地域や自然とのつながりを通して感じたこと、変わったことなどをたっぷり伺いました。

(文・赤木 真弓/写真・加賀江 広宣)

 


 

住まいで人は変わる

加賀江広宣さん(住むということ探究人)

 

(写真・小野 慶輔)

 

家を建てるまでは、家で何もしないのが当たり前だったという加賀江さん。一番変わったのは自分自身だといいます。

 

「仕事から帰ると、ソファに座ってテレビを見て。家事は本当はやらなきゃいけなかったのですが、当時は妻が外に働きに出ていなかったことに甘えていました。そうすると家でやることがなかったんですよね。この家はまわりに自然がたくさんあるし、気持ちがいい場所がいろいろなところにあるので、テレビの前にいるのがもったいない気分になります。庭の木を切るのも、そうしなくてはいけないというよりそうしたくなる。

 

初めは家という箱だけを作った感じだったので、収納棚を作ったり、子どもたちが遊べるブランコやシーソーを作ったり。家の中にやることがたくさんあって、それをやりたいと思える空間なんです。自分の心が動くような環境に住むことができたので、今はほとんどテレビを見ることはない。毎日忙しいです。

 

家や暮らしを自分たちで育てていくなかで、妻と共通の話題が増えて、もっと仲良くなったと思います。もともとお互いにあまりしゃべらない夫婦だったのですが、この家には会話をする種がいろいろあります。子どもたちも多分、前みたいにテレビの前でゴロゴロしてばかりのお父さんだったら、あまり関係がよくなかったかもしれませんね(笑)。自分が意識することなく、自然といつも何かを一生懸命やっているところを見てもらえるのは、この家のおかげだと思っています」

 

 

生活のリズムも変わり、朝型に。田んぼでお米作りも始めました。

 

「朝にするのが一番効率的。日中は暑くて作業がはかどらないので、仕事の前にちょこっとするのが涼しくて効率もいいですね。休みの日は休みたいので、仕事の日に朝5時くらいに起きて、5:30から7:00過ぎまで農作業をしています。まさに朝飯前の仕事ですね。

 

周りの人が田んぼをしてくださっていたときは、自分は何もせずにその景色を楽しませてもらっていたのですが、高齢化のため、田んぼをする人が減っていっています。この環境の恩恵を受けているので、それを自分で手を動かして維持するのは、当たり前だなと思って。だから米を作りたかったというより、ご近所の方から引き継いで、この風景、この環境を守っていこうと思ってやっています。

 

最近は米作りも感覚をつかめるようになり、去年おいしい米もすごくたくさんとれました。重機も増えたので、今度はそのための小屋を作ろうと思っています。冬は火を焚きながら作業したり、焼き芋を焼いたり、楽しいですよ」

 

今回ご紹介する加賀江さんの愛用品はこちら。

アラビア コーヒーカップ&ソーサー 「パラティッシ」 ブラック

 

(以下、加賀江さんコメント)

シンプルなフォルムにパンジーやぶどう、りんごなどのモチーフが描かれた「アラビア」のパラティッシは、この家に来て最初に買ったコーヒーカップです。家を建てる前はコーヒーを淹れて飲むことがなかったので、そういう気分にさせてくれたのがこの家だと思います。

 

コーヒーカップは窓辺に作った棚に並べていますが、茶色や黒、ガラスのものなど、どれも落ち着いた色ばかり。窓の向こうに気持ちのいい自然の風景があるので、手前にはできるだけ主張しすぎないものを置く方がなじみがいい。だから、パラティッシも白地に黒のものを選びました。おいしいお菓子を買ってきてゆっくりコーヒーを淹れる、そんな家で過ごすちょっとだけ特別な時間に使いたいカップ&ソーサーです。

 

(2025.01.29)

 


 

ご紹介した商品は、F-TOMO SHOP でお求めいただけます。

ぜひご覧ください。

 

次回はインタビューと併せて、「RIVERS サーモジャグ キート1200」についても伺います。

     

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    加賀江広宣 かがえひろのぶ

    1980年長崎市生まれ。高校でインテリアを学んだ後、九州産業大学建築学科、同大学院建築学専攻修士課程修了。ゼネコンの施工管理、住宅会社の営業を経て、2010年株式会社シンケンに入社。2013年、鹿児島市中心街から少し離れた里山に家を建て、太陽、風、木々のにおいを感じる暮らしを楽しみながら、Instagramで発信する。妻、長男、長女、次女との5人暮らし。

    2023年12月7日に著書『住む、ということ 里山のちいさな暮らし』を、婦人之友社より発売。

    【Instagram】@kagae_hironobu


    2023年12月7日発売

    『住む、ということ』

    1,760円(税込) 詳細⇒