本物をまなぶ学校 自由学園
2021年4月30日発売
1921年、羽仁もと子・吉一によって創立された自由学園は、この春100周年を迎えます。「生活即教育」を掲げ、生活のすべてを学びとする自由学園の一貫教育が、今また注目を集めています。よく生きる力、問題解決の力が育つ学びとは何かを、多彩な執筆陣によってひもといていきます。
自由学園の「今」を徹底取材
島村菜津(ノンフィクション作家)
学園長インタビュー
高橋和也(自由学園学園長)
聞き手 山崎亮(studio-L代表)
特別付録 : キャンパスマップ 大判B3変型
中村みつを(イラストレーター)
写真 公文健太郎(写真家)
対談1
秋田浩之(日本経済新聞社 コメンテーター)×太田昌克(共同通信社論説委員)
対談2
梶谷宣子(染織美術品保全修復員)×羽仁曜子(『婦人之友』編集長)
特別寄稿
辻信一(文化人類学者)“懐かしい未来”の庭
坂本龍一(作曲家)すべては生活団から始まった
福岡伸一(生物学者)動的な共同体
内田樹(思想家)伝統と知性
末吉里花(エシカル協会代表理事)社会とつながる「えんがわ」のような存在
井田典子(横浜友の会会員)親子で光に歩んだ1000日
渡辺憲司(文学博士)自由学園「非戦」の絆
目次
本文執筆(第2章~第7章) 島村菜津 ノンフィクション作家
はじめに
第1章 木々と光の美しい 3万坪の校庭
“懐かしい未来”の庭 辻 信一 文化人類学者
第2章 自分で考える、生活に学ぶ
- よい社会を一人ひとりが創り出す
- 組織の舵取りは辛いことも多いけれど
- 理系と文系を分けないリベラルアーツの勧め
- 境界線を考える国語の授業
- 友の痛みと、社会に声をあげること
- 成果ではなく、過程が大切
- 自治ってなんだろう?
- 希望、祈り、見えないものに価値を置くこと
- 相手の尺度を理解すること
- 新しい社会のリーダ—を育てる
- 非常時に試された結束力
自由学園と私 1
「伝統と知性」 内田 樹 思想家
第3章 食堂が真ん中にある学校
- 生徒たちが作るお昼ご飯
- 人としての愛情を育む学び
- 食の原点を学ぶ
- 学びの場と時間を子どもたちと共有する保護者
- 段取り力が知らず知らずのうちに身につく
- 地域に開かれたカフェと愛され続ける名物クッキー
- ボランティアを続ける友の会の底力
- 行列ができるパン屋さん、日用の糧を作れる幸せ
自由学園と私 2
「親子で光に歩んだ1000日」 井田典子 横浜友の会会員
第4章 自分が使う机と椅子を作る
- 70年間、生徒たちが育林してきた森林のある学校
- 学びたい空間を自分たちでデザインする
- 本格的な登山が教えてくれたもの
- 学校はサステナブルな未来の社会のモデルに
- センス・オブ・ワンダ—
- データサイエンスから生物多様性の変化を読み解く
自由学園と私 3
「動的な共同体」 福岡伸一 生物学者
第5章 描くものは 生活の中に
- 美術を通じて自分の言葉を持てる人に
- 世界を新しい視点で視る技術
- 美術は、自分にとって何が大切かを知るための時間
- 人生はアンサンプル、人との関係の中で形を変えていく
- 直感力で世の中をよい方向へ
- 競うのでなく、認め合う美しい体操
- クラフトマンシップ、もの作りに宿る精神性
自由学園と私 4
「すべては生活団から始まった」 坂本龍ー 作曲家
第6章 社会に働きかける
- 「いつか支えたい」──いつか、どこかで、誰かを
- 他者のために動く、自由学園のDNA
- 浜に教わったコミュニティの大切さ
- 障害のある人もない人も使える「共用品」を世界に広める
- 多様な生き方のできる場所
- 交ざり合い支え合う社会の実現を
- 福祉の視点を広げると子どもたちが変わった
- ホームレスの人たちとおにぎり
自由学園と私 5
「社会とつながる『えんがわ』のような存在」 末吉里花 一般社団法人工シカル協会代表理事
第7章 国際化と変化の時代に
- 多文化共生の時代に
- 留学生との交流から拓ける将来への道
- とにかく行動すること
- 【対談】①物事の本質をつかむ人間力はどのように鍛えられたか
秋田浩之 日本経済新聞社コメンテーター
太田昌克 共同通信社論説委員
- 【対談】②「ものを見る眼」とその原点 世界のどこにいても
梶谷宣子 メトロポリタン美術館染織美術品保全修復員
羽仁曜子 『婦人之友』編集長
自由学園と私 6
自由学園「非戦」の絆 渡辺憲司 文学博士
学園長インタビュー「共に生きる」をみんなで考えたい
高橋和也 自由学園学園長
【聞き手】山崎 亮 コミュニティデザイナー
自由学園の創立者 羽仁もと子・吉一の歩み 年表
あとがき
特別付録[初版のみ] 学園イラストマップ(大型B3変型)中村みつを(イラストレーター)
支える つながる 力を合わせる 初等部
問いを立て、学び合う。「共生共学」に向けての取り組みがスタート。 |
生活をつくり出す人に |
描く題材は生活の中にある。収穫した野菜を勢いよく墨絵に(初等部)。
読者レビュー
- 自由学園を知ったのは中学校の進路指導室に並べられていた各学校ののパンフレットの1つを手に取ったときでした。男女が全く同じ扱いで教育を受けることができる環境を望んでいた当時の私は東京都内の共学進学校へ進みましたが、自由学園の案内の写真や女子部、男子部の言葉が心のどこかに残っていたように思います。この本を読んでやっぱりこの学校は魅力的だったんだなぁとしみじみ。本からのメッセージを日々の子どもや家族、社会とのかかわりの刺激にしていけたらと思います。(高知県・38歳)
- 「SDGs」「多様性」といった、今社会が追及していることを創立の時点から考えている学校であることが素晴らしいと思います。また価値観が世間でいくら変化してもこういう教育を受けていれば自身の信念がぶれることなくいきてゆける人材となれるのではないでしょうか。寄稿されている方々に卒業生以外の方も多くおられますが、そのことで内容に客観性が出ています。(東京都・57歳)
- 「はじめに」の文章を読み、そのまま「おわり」まで引き込まれるように読みました。本書を読み自由学園の魅力を再認識することができました。コロナにより今までと同じような登山や寮生活を体験することはできませんが、自由学園での6年、10年間の経験はその先に繋がると思いました。今の時期に本書に出会えてうれしく思いました。(埼玉県・47歳)
- 大変興味深く拝読しました。写真も多く、素敵なご本ですね。近所のカフェであっという間に読了しました。驚きと共に「もっと知りたい!」という思いが強くなりました。中村みつをさんによるイラストマップも素晴らしいですね。自然豊かなキャンパスで深呼吸したくなりました。第3章「食堂が真ん中にある学校」本当に驚きました。自由学園ではずっと「当たり前」なのでしょうか。この点でも自由学園の歴史に興味を持ちました。「食」はとても大切ですね。「段取りが知らず知らずのうちに身につく」ことにも納得しました。福岡伸一先生や坂本龍一さん他の皆さんの「自由学園と私」も良いですね。(神奈川県・53歳)