『三陸わかめと昆布 浜とまちのレシピ80』 十三浜の漁家と塩蔵わかめができるまで | 婦人之友社 さあ、生活を発見しよう

『三陸わかめと昆布 浜とまちのレシピ80』 十三浜の漁家と塩蔵わかめができるまで

宮城県石巻市北上町十三浜

宮城県石巻市北上町十三浜は、三陸南部の地域です。北上川河口付近から海岸線を北上した15㎞ほどの範囲に、13の集落(浜)と6つの小さな漁港が点在しています。

 

北上川は流域面積が日本で4番目に広く、山や森の豊かな養分を集めながら南下して、海に注ぎます。その川水が海水に混ざる十三浜は、海藻や魚介類がよく育つ豊穣の海。

津波が襲った三陸の浜は、海の家族の暮らしの場でした。

 

『三陸わかめと昆布 浜とまちのレシピ80』P.18-P.20の料理をつくってくださった十三浜のみなさん。
仮設住宅では、こうして料理を持ち寄って集会所に集まることもたびたび

 


2月初め、春を告げ、落の無病息災を祈る「春祈祷」。獅子舞いが全戸を回ります。

仕事の合間に稽古して楽しむ民族芸能「大室南部神楽」は今も受け継がれています。

1年分の味噌や梅干しを仕込み、畑で採れた野菜を漬け物に、食料は自らの手で賄う暮らし。

 

塩蔵わかめができるまで 『三陸わかめと昆布 浜とまちのレシピ80』P.12-13より

十三浜は今、新わかめの収穫期。刈り取ったたわかめを一年中おいしく食べられるように塩蔵加工するのは、漁師さんとその家族です。ミネラル、ビタミンが豊富で肉厚な三陸のわかめは、乾燥よりも風味や食感が保たれる湯通し塩蔵が適しています。
朝8時、船いっぱいに積み込んで浜に戻ると、すぐボイルして、濃い塩水に漬け込んだ後、脱水。わかめの葉と中芯(茎わかめ)をわけたものが各地へと出荷されます。

 

1.わかめのタネ
浜で「タネ」と呼ぶわかめの種苗を、11月にロープに挟みます。

2.海に投下
そのロープに浮き玉をつけ、漁船で決められた場所へ。

3.刈り取り
小さなタネが半年弱で3mを超す大きさに。


4.湯通し
刈ったらすぐに湯通し。85~90°Cに熱した海水で30~40秒ほどボイル、海水で冷却します。

5.湯通し前(右)、湯通し後
熱湯をくぐらせると、褐色が色鮮やかな緑に。

6.芯抜き
1本1本しごくようにして、葉と中芯を分けます。根気と時間のいる手作業。

自然を相手に仕事をする浜の人たちは、その恵みも脅威も受け入れ、経験と知恵と技術を尽くしています。厳しい労働とていねいな手仕事に支えられ、この春もわかめと昆布が私たちの食卓へと運ばれます。

 

 


3月11日発売『三陸わかめと昆布 浜とまちのレシピ80』の詳細⇒

 

婦人之友社編/B5判/96頁/ISBN:978-4-8292-0836-6