ふと旅に出たくなるようなそんな本にしたいと思いました。

旅のガイドブックですか。
ガイドはしていますが、ちょっと違います。ガイドブックならもっとおいしい所の紹介があるはずです。

歴史紀行ですか。
その土地の歴史は記していますが、ちょっと違います。たんに歴史を振り返るのではありません。今の自分を歴史の場所で見つめなおしたつもりです。

「いのりの海へ」の旅路です。
いのりは、出会いへの感謝です。
別れの時に振り返って軽く会釈をしたくなるような「いのり」です。

赤毛のアンの故郷プリンスエドワード島に行きました。沖縄の久高島では神々に抱かれました。ドイツの町でも、土佐の海でも自由を思いました。長崎、広島では平和への思いを強くしました。アイルランドの妖精たちにも会いました。福島や水俣の海に怒りを感じたこともありました。

語らぬ海は母のごとく慈愛にあふれています。波間に消える一時を惜しむように、読者の皆さんと旅に出たいと思います。

いのりの海へ ― 出会いと発見 大人の旅

著者：渡辺憲司